認定看護師インタビュー

Interviews
その人らしく最後まで生き抜くために、患者さんの人生を支えたい
緩和ケア認定看護師 Kさん

緩和ケアのやりがいは?

死に向かっていく患者さんの方が多いので、自分が燃え尽きないように心掛けています。緩和ケアを必要とする患者さんは、何もできなくなったと後ろを向きがちになります。だからこそ、緩和ケア認定看護師として精神的な関りを大事にしていきたいと思っています。
患者さんと関わっていく中で、患者さん自身が前を向く事ができるようになったと感じる瞬間があります。また、患者さんが新たにできるようになったことなどに気づけると、支えることができたのだと実感します。このような時はやりがいを感じることができます。

患者さんが前向きになるケースはよくありますか?

入院患者さんの対応を主にしていますが、緩和ケアに一緒に取り組んでいる医師が癌サポート外来を担当されているので、対象患者さんがいる場合は外来で対応し、患者さんのお話を聞いたりすることもあります。
患者さんは体調が悪くなると、気分も下がってしまうことがあります。患者さんの気持ちをどこまで立て直すことができているのかを評価することは難しいですが、それでも、ご家族との関りで「良い亡くなり方ができた」「良い生活ができた」という言葉をいただくと、良い関り方ができたと思います。何をもって良かったかというのか本当に難しいのですが、最後までその人らしく過ごせたかどうかだと思っています。そのお手伝いができるよう、寄り添った看護を心掛けています。

患者さんやご家族とはどのようなスタンスでお話をしていますか?

自分の価値観を押し付けないようにしています。患者さんの望むケアを知るためには、考え方や価値観を大切にすることが必要となってきます。患者さんの状態によってはできない事もあるのですが、患者さんだけではなくご家族も思いを訴えてこられることがあります。このような場合、無理だと言うのではなく「今だったらこれができる」「この先はこういうことができる」という提案を出しています。患者さんやご家族の方が納得できる道を示すことができればと思っています。

緩和ケアは暗いイメージですが、払拭する何かはありますか?

緩和ケアは、「患者さんが生きるためのケア」で、生きる力を支えるケアを行っています。緩和ケアは死に向かうものではないと、実習に来る学生さんにも伝えています。彼らからは、死に向かうイメージだった、生きることを支えるという視点がなかったと言われました。多くの学生が「生きるための看護という気づき」を得てくれたようです。

どのような看護観を持っていますか?

私の看護観は「最後までその人らしく生き抜く」です。緩和ケアに興味がある方にも、大切にしてほしいと思っている考えです。患者さんの人生そのものを支えるケアが、緩和ケアだとも思っています。